2016年4月16日土曜日

「98年世代」

それでは「1898年世代」とは、そもそもどういう性格の人々で、どんな主張をもっていたのか。「98年世代」に関する古典的な書とされるP・ライン・エントラルゴの『スペイン1898年代の世代』(La generación del noventa y ocho, 1967)=写真=をもとに、「二つのスペイン」という視点から整理しておきましょう。


「98年世代」についてエントラルゴは「1890年から1905年のあいだに、その自我ならびにスペイン的意識に目覚め成熟した人たちである」として、次の人々をあげています。

「ミゲル・デ・ウナムーノ、アソリン、アントニオ・マチャード、ビオ・バロッハ、バーリェ・インクランおよびメネンデス・ピダルらと相前後して、アンヘル・ガニベット、ラミロ・デ・マエストゥ、ハシント・ベナベンテ、イグナシオ・スロアーガ、マヌエル・マチャード、アルバレス・キンテーロ兄弟、マヌエロ・ブエノ、シルベリオ・ランサ、それにカスティーリャの印象派画家ダーリオ・デ・レゴヨスを加えてもよかろう」 。

思想家、作家、詩人、画家、ジャーナリストなど、当時のスペインを代表する知識人たちが並んでいます。同じ時代に生きた彼らは、同じような危機感をもって立ち上がり、思想や理想も共通していました。

エントラルゴは、若き日の「98年世代」のほとんどが「ヨーロッパ的」かつ「近代的」な読書体験から刺激を受けることによって、その魂の奥深くに、高遠な精神と積極的な有効性を備えた「いわくいいがたい大望」を抱いていた、としています。

  ……夏の明るい午後
  家族の居間で
  私が夢みはじめた
  初めての倦怠

「1898年」の20年あまり前に生まれたアントニオ・マチャードも、神秘的なものを詩的に表現する無垢な詩人の精神で「夢みはじめ」ていたのです。

シェイクスピア、モンテーニュ、ヘーゲル、バルザック、レオパルディ、スタンダールらの作品の中に脈打っている人間たちの芸術、思想、そして生そのもの。こうした読書体験によって彼らは、近代ヨーロッパ的な精神を身に着けていきます。

一方で、歴史的な魅力がまったく消え失せた当時のスペインとの無味乾燥な触れ合いもそこにはありました。これらが彼らの魂に同時に働いて、「正統カトリックからの明らかな離反」という一つの類似した反応を決定的なものにしたのです。

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